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下肢静脈瘤の種類

下肢静脈瘤の種類

その症状によっていくつかの種類に分けられています。典型的なものから、順を追ってご紹介していきます。 一般的に多い症状としては、血液の逆流のため内圧が上がって拡張した静脈が太く浮き出て瘤(こぶ)のように膨らむ症状です。 また、発症すると血行が悪くなり、他にもさまざまな症状が現れます。 うっ血が起こり、足のだるさや疲れを慢性的に感じるようになります。また、むくみやこむら返りを起こしやすくなり、痒み、皮膚炎、色素沈着など多彩な症状があります。重症化すると血栓性血管炎や潰瘍も発症します。

伏在静脈瘤

足の表面近くにある静脈のうち、足の付け根と膝の裏で深部静脈に合流する比較的太い静脈が「伏在静脈」です。伏在静脈の弁が壊れて血液が逆流しその支配領域(ふくらはぎ周囲、むこうずね周囲、膝周囲、太もも内側など)に、こぶのように血管が拡張した状態を伏在静脈瘤といいます。

足の付け根や膝の裏の、伏在静脈と深部静脈の合流部の弁が、壊れることによって発生します。下肢静脈瘤の典型的なタイプです。多くの場合、膝から下の部分にかけて血管が浮き上がり、ボコボコと径0.5~3cm程度の血管の瘤(こぶ)が発症するのが典型的です。 伏在静脈瘤には、大伏在静脈瘤と小伏在静脈瘤があります。

大伏在静脈瘤
脚にある表在静脈の中で比較的太く長く走行する代表的な血管が伏在静脈で、伏在静脈の弁が壊れて逆流すると大きい瘤が形成されます。大伏在静脈は、足首内側から下肢の内側を上行して脚の付け根まで走行しています。

小伏在静脈瘤
こちらも同じく、脚にある表在静脈の中で比較的太く長く走行する代表的な血管です。 症状などは大伏在静脈瘤と同様ですが、その違いは発症する場所で、小伏在静脈は 足首の外側から下腿の背側を上行して膝窩部・膝の後ろまで走行しています。

側枝(分枝)静脈瘤

伏在静脈瘤の起始部からの逆流はないけれども、伏在静脈の枝の部分が、部分的に弁が壊れて血液がたまり拡張してできたものです。伏在静脈本幹から枝分かれした静脈の、さらに先の部分が拡張してできたものを言います。主に膝から下の部分に見られ孤立性のことがあります。伏在静脈瘤よりやや細いのが特徴です。 比較的、膝から下の部分に見られます。不全穿通枝と呼ばれる筋肉を貫通して逆流する血管によって作られる静脈瘤も含まれる場合があります。 側枝静脈瘤は、伏在静脈の分枝が逆流して静脈瘤を作ったもので、症状は伏在静脈瘤とほぼ同じものです。具体的な症状として、見た目の不快感、足がつる、むくむ、だるい、かゆい、痛いといったものが挙げられます。

網目状静脈

皮膚直下にある小さな静脈が拡張した径2~3㎜程度の静脈瘤です。網の目状の広がりを示すことからこう呼ばれます。青色の血管拡張として確認されます。皮下静脈が網目状に広がって静脈瘤を形成します。この静脈瘤は、脚全体に広がることもあり見た目に気持ちが悪いと思われる方が多いです。症状には、むくみや痛みが伴うこともあります。

クモの巣状静脈瘤

クモの巣状とは、網目状のものより細い真皮内静脈(径0.1~1㎜)が拡張している状態です。網目状もクモの巣状も伏在静脈瘤のようなぼこぼことした盛り上がりはありません。皮膚表面(表皮)のごく浅いところにある、極めて細い血管が拡張したものです。盛り上がりが殆どなく、赤紫色に見えるのが特徴です。 欧米では、網目静脈瘤や、クモの巣状静脈瘤の患者さんが多くいらっしゃいます。日本でも、このタイプの静脈瘤で悩んでいる方が多いと思われますが、“どこで治療を受ければいいかわからない”、といった理由で治療が受けられず悩んでいる方も多いようです。また実際に、これらのタイプの静脈瘤に対して、積極的に治療をする医療機関も非常に少ないのが現状です。

陰部静脈瘤

子宮卵巣周囲の静脈の弁が壊れて発症した血液の逆流が会陰部から太ももの裏側にかけての静脈を破壊することにより作られた静脈瘤です。多くは太ももの裏側を内側から外側にかけて斜めに連なるコブのように見えます。お腹の中の卵巣や子宮周囲が発生源になります。そのため、生理で卵巣や子宮にいく血液が増えると症状が強くなることがあります。

リベド血管炎

隆起こそありませんが、下肢に広範囲に皮斑が生じることがあり痛みを伴う場合もあります。潰瘍が発症することがあります。

慢性静脈不全症

静脈の還流障害が慢性化して、下肢に血液がうっ滞することによっておこり、症状は、下肢の腫れ、むくみ、痛み、しこり、湿疹、潰瘍、色素沈着など様々です。深部静脈血栓症後に血管の狭窄が残ったり、バイパスの血管が逆流をおこしたりすることでも発生します。

深部静脈血栓症

近年ではエコノミー症候群として注目を集めている症例です。静脈血栓症は全身の深部の静どの脈にも起こり得ますが、その中でも下肢・大腿・骨盤内などの深部静脈で発症することが多いとされています。

先天的静脈瘤

一般的な下肢静脈瘤は成人以降の発症がほとんどですが、子供の頃からあざや表在静脈が目立つ、先天的静脈瘤の方もいます。先天的静脈瘤は下肢の外側を走る静脈から発症する傾向にあることと、遺伝性ではないということが分かっています。